自治体における生成AI活用状況|導入事例と活用のメリットを紹介

人手不足が叫ばれる地方自治体の業務改善に役立つのが、昨今目まぐるしく成長している「生成AI」の技術です。この記事では、生成AIの黎明期から業界に携わってきた弊社スパイクスタジオが、自治体における生成AIの最新活用状況を解説していきます。
「生成AIは自治体のどんな業務に活用できるのか」
「実際に活用した自治体ではどのくらい効果があったのか」
「生成AI導入はハードルが高いように思うが、課題点は何か」
上記の悩みや疑問を解決し、自治体における生成AIの活用法を詳しく紹介しますので、人手不足に悩んでいる担当者の方はぜひ参考にしてください。
自治体における生成AI導入状況

引用総務省「自治体における生成AI導入状況」
2024年の総務省のデータを参照すると、生成AIを導入済みの自治体は、都道府県で約5割・指定都市で4割・その他市区町村では約1割でした。ただし、実証・検討している自治体を含めると、市区町村でも約7割が生成AI導入に前向きです。
このことから、生成AIの自治体導入は、全国規模で進展しているといえます。人口の規模が大きいほど導入率が高く、未導入の自治体も都道府県においては4割以上、指定都市においては5割がすでに実証実験の段階です。
今後も、生成AI技術の進歩と導入コストが低下していけば、自治体での活用事例は増えていくと予測されます。
自治体が抱える「人手問題」を解決するのが目的
自治体における生成AI導入が増加傾向にあるのは、深刻な人手問題を解決するのが目的です。自治体では、人手が足りない中でもサービスを安定させなければならないことが、昨今の大きな課題として叫ばれています。
総務省の「自治体戦略2040構想研究会」では、2040年には自治体職員が半減する予測です。現状のままでは、住民が満足できるサービスを提供し続けるのは困難だといわれています。
こうした現状を打開するための解決策として採用されたのが、生成AIによる業務改善です。生成AIは学習した膨大なデータを基に、新たなコンテンツを生成できるメリットがあります。生成AIを活用することで、自治体業務の効率化と住民サービスの向上が期待できるのです。
自治体における生成AIの具体的な活用方法と効果

引用総務省「自治体における生成AI導入状況」
以下は、2024年における総務省のデータを参照した、自治体における生成AIの具体的な活用法とその導入効果です。
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あいさつ文作成→年間1,500時間削減
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議事録要約→1件あたり半日程度から30分~1時間まで短縮
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ポスター・チラシ画像作成→年間160時間削減
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コード生成→年間30時間削減
上記はそのうちの一部抜粋ですが、上位4項目だけでも十分効果があることがわかります。
自治体における生成AIの導入ツール
現在自治体において導入されている主な生成AIツールは以下の通りです。
ツール名
本運用
実証実験中
ChatGPT(GPT-3.5)
95件
83件
LoGoAIアシスタント
45件
77件
BingAI
42件
42件
Bard
19件
24件
自治体AI zevo
24件
88件
本運用では「ChatGPT(GPT-3.5)」が最も多く、実証実験中のツールでは「自治体AI zevo」が選定されています。
生成AIを業務改善に活かした地方自治体の活用事例
ここからは、生成AIを業務改善に活かした、地方自治体の活用事例を3つ紹介していきます。
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沖縄県沖縄市|AIチャットボットを問い合わせ対応に導入
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埼玉県戸田市|ChatGPTを活用して労働時間の削減を実現
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宮崎県日向市|独自データ学習生成AIの活用
沖縄県沖縄市|AIチャットボットを問い合わせ対応に導入
沖縄県沖縄市は、24時間365日対応可能な「AIチャットボット」を導入し、こども・医療・福祉など幅広い分野をカバーした、住民からの多様な問い合わせに自動で応答しています。英語・韓国語・中国語への自動翻訳機能により、外国人居住者にも対応可能です。これにより、時間や言語の制約なく、住民が必要な情報を得られるようになりました。
チャットボットの起動時間を調べると、窓口受付時間外の利用が全体の40%を占めています。チャットボットの導入により、時間外問い合わせや「非対面の問い合わせがしたい」というニーズが判明し、住民のサービス向上が実現できました。
埼玉県戸田市|ChatGPTを活用して労働時間の削減を実現
埼玉県戸田市は、全職員にLGWAN環境でChatGPTを利用できるサービスIDを配布しています。2023年11月には約300万文字を生成し、500時間相当の労働時間を削減しました。職員給与換算では約225万円の効果があり、月額11万円の利用料に対して高い費用対効果が評価されています。
また、2023年12月から2024年1月にかけて、市民向けの生成AI応答サービスの実証をおこないました。チャットやボイスメッセージでの問い合わせにAIが回答候補を生成し、担当職員が確認する運用でハレーションなどを防いでいます。
宮崎県日向市|独自データ学習生成AIの活用
宮崎県日向市は、「日向市DX推進計画」の一環として、Microsoft Azure OpenAIを活用した生成AIの導入を進めています。このプロジェクトでは、市が保有する独自データを学習させた「Hyuga_AI」を構築し、庁舎内業務の効率化と市民サービスの向上を目指している形です。
2023年12月から実証実験を開始し、2024年夏頃までに全職員への展開を予定しています。市民向けには、LINEなどと連携した対話型サービスを提供し、迅速な対応が可能です。これにより、職員の業務負担軽減と市民サービスの質的向上が期待されています。
生成AIを自治体に導入する際の課題点
生成AIを自治体に導入する際は、以下の課題点が懸念されています。
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AIに精通した人材の不足
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AI導入のための予算確保
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セキュリティ対策やプライバシー保護
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既存システムとの互換性
とくに問題となるのが、既存システムとの互換性です。詳しく解説しますので、ぜひ導入時の参考にしてください。
AIに精通した人材の不足
AIなどのテクノロジーに精通した人材や職員がおらず、「何から始めたらいいかわからない」という自治体は少なくありません。そもそも通常業務に対応しきれていない業務過多な状態なので、「これ以上仕事を増やしたくない」という方も多いでしょう。
AI導入のための予算確保
AIツールを導入し、既存システムとの置換や互換性の確保をおこなうには、それなりにコストがかかるため予算の確保が必要です。自治体のトップや住民からの理解を得られなければ、導入を検討するだけで終わってしまうでしょう。AIを導入することで得られるメリットや効果などを明確に提示し、納得してもらわなければなりません。
セキュリティ対策やプライバシー保護
自治体は住民の個人情報を含む膨大なデータを扱っているため、セキュリティ対策やプライバシー保護は万全である必要があります。生成AIには、機密情報や個人情報漏えいリスクがあるため、正しく理解した上で活用しなければならないでしょう。
さらに、「プロンプトインジェクション」と呼ばれる、悪意あるユーザーによるサイバー攻撃の対象となる可能性もゼロではありません。
既存システムとの互換性
自治体における生成AI導入で最もつまずきやすいのが、既存システムとAIの互換性です。具体的には以下のような課題点があります。
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データ形式の違い
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非構造化データの多さ
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インフラ環境
1つ目は「データ形式の違い」です。旧システムがCSVや特定のERPシステム専用フォーマットしか扱えない場合は、生成AIが必要とするデータ構造と互換性がないということになります。
2つ目は「非構造化データの多さ」です。紙の書類やスキャンされたPDFなどの「非構造化データ」が多い場合は、生成AIで活用する際に「ペーパーレス化」などのデジタイゼーションが必要になります。
3つ目は「インフラ環境」です。 サーバーがオンプレミス環境だったり、ネットワークが閉域網やVPNだったりすると、生成AIの導入のハードルが上がってしまうでしょう。
それぞれの課題を解決するには、以下の対策が有効です。
データ形式の違い
特定のフォーマットを生成AIが扱えるようにファインチューニングを施す
非構造化データの多さ
非構造化データの構造化は生成AIの得意分野
インフラ環境
オンプレミス型生成AIを導入する
生成AIの自治体導入に成功するコツ
課題点を克服するために必要な対策は以下の通りです。
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利活用ガイドラインの策定
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職員のリテラシーやスキル向上トレーニング
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民間企業や研究機関とのパートナーシップ
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外部の専門家やコンサルタントとの連携
利活用ガイドラインの策定
生成AIを透明性を持って扱うには、担当者のリテラシー向上が欠かせません。生成AIを導入する際は、個人情報を適切に扱うためのガイドラインを策定することが大切です。
東京都の自治体では、全局5万人に生成AI活用のガイドラインを策定し、個人情報保護や著作権ルールなど、安全に生成AIを活用するための方針をまとめています。また、神戸市でも生成AIの利用ガイドラインを定めており、情報漏えいリスクの回避・法令遵守・他者の権利尊重など、注意点を詳細に記載している形です。
職員のリテラシーやスキル向上トレーニング
生成AIを最大限活用するには、その特性を正しく理解し、適切に運用できる人材が必要になります。AIに関するトレーニングプログラムなどを実施することで、職員のAIリテラシーやスキル向上を図ることが大切です。
トレーニングプログラムは、専門家やコンサルタントに依頼するのがいいでしょう。弊社では、生成AIの導入支援として、プロンプト勉強会やリテラシー向上のための勉強会などをおこなっています。
民間企業や研究機関とのパートナーシップ
初期導入コストや継続的な運用費用などの課題は、民間企業や研究機関とのパートナーシップで解決できる場合があります。共同で運用費用を負担する仕組み作りができれば、コスト軽減が期待できるでしょう。予算の捻出が難しい場合は、パートナーシップの構築も検討してみてください。
外部の専門家やコンサルタントとの連携
先述したように、自治体における生成AIの導入にはさまざまな課題が存在しています。中には導入のための人員コストを捻出できないという自治体もあるでしょう。「職員だけでは運用に不安がある」「既存システムとの互換性に課題がある」という場合は、知見のある専門家に監修を依頼するのがおすすめです。
最小限のコストやリソースで、最適化された生成AIの活用が期待できます。問題点を明らかにして的確な改善策を提案してもらえれば、既存の煩雑な業務も自動化・効率化できるでしょう。
自治体における生成AI導入はチャットボットがおすすめ
自治体に生成AIを導入するなら、自然言語処理系AIの「チャットボット」がおすすめです。
チャットボットは自治体と住民双方の課題解決に役立つことから、導入開始時も受け入れられやすい傾向があります。そのため、生成AI導入の第一歩に最適なツールです。
弊社スパイクスタジオでは、社内外に対応できる汎用性の高いチャットボットを開発しています。
チャットボットに議事録・チャット履歴・ドキュメントなどの膨大なデータを学習させれば、テキストデータの構造化が可能です。
構造化したデータはラベリングやカテゴリー分けにより、高速検索できることから、自治体業務におけるさまざまな用途に活用できます。チャットボットを導入することで、問い合わせ数の削減や、住民からの問い合わせ対応の速度向上などが実現できるでしょう。
自治体における生成AI導入はスパイクスタジオにお任せください
生成AIは、チャットボット・文書生成・自動翻訳など、幅広い業務に適用でき、さまざまな業務を横断的にサポートできるメリットがあります。
自治体業務全体にわたって大きな効果を発揮してくれるため、人手不足を解消する革新的な技術になり得るでしょう。
弊社スパイクスタジオでは、AIの黎明期から数々のインターネットサービスに携わってきた、確かな実力と実績がございます。
熟練の開発チームが在籍していますので、各自治体の課題解決ニーズに合わせた、生成AIの活用・導入サポートが可能です。生成AIの導入でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
