【2026年版】国産LLM15選|日本企業の日本語モデルを商用利用の可否で比較
2026年3月6日、デジタル庁は政府共通の生成AI利用環境「源内」で試用する国内開発のLLM(大規模言語モデル)7モデルを選定しました。応募は15件で、2026年8月頃から全府省庁での試用が始まり、2027年4月以降に優れたモデルの有償調達が検討される計画です。国産LLMは「研究開発の成果を発表する段階」から「行政や企業が業務で使う段階」に移りました。
一方で、実際に導入を検討する立場になると迷いが増えます。「海外のモデルで十分ではないか」「国産を選ぶ理由は本当にあるのか」「商用利用してよいモデルはどれか」。カタログを並べた記事は多いものの、判断の材料になる情報はまとまっていません。
スパイクスタジオは生成AIの活用支援を専門とし、研修から社内展開、システム開発までを一貫して支援してきました。その現場で「どのモデルを選ぶか」の相談を数多く受けています。
この記事では、次の5点にお答えします。
たとえば:
- 2026年時点でどんな国産LLMがあるのか(15モデル)
- それぞれ商用利用できるのか、ライセンスはどうなっているのか
- 公表されている日本語性能はどの程度か
- 実際に企業や行政がどう使っているのか(導入事例5件)
- 自社に合うモデルをどう選べばよいのか
掲載した情報は、すべて開発元の公式発表またはデジタル庁の公式資料で確認したものです。数値は公表元と時点を明記しています。
国産LLMとは|2026年に押さえるべき3つの変化
国産LLMとは、日本の企業や研究機関が開発した大規模言語モデルを指します。日本語の学習データを重視し、日本の商習慣や法令、行政文書の表現に合わせて調整されている点が特徴です。LLM そのものの仕組みについては、LLM(大規模言語モデル)とは?ビジネス活用事例や仕組みを紹介で解説しています。
2025年から2026年にかけて、この分野の様子は大きく変わりました。押さえるべき変化は3つです。
①政府が「試用」から「調達」へ進んだ
デジタル庁は2026年3月6日、ガバメントAI「源内」で試用する国内開発LLMの公募結果を公表しました。選定されたのは次の7モデルです(デジタル庁の公表表記のまま記載します)。
- 株式会社NTTデータ「tsuzumi 2」
- カスタマークラウド株式会社「CC Gov-LLM」
- KDDI株式会社・株式会社ELYZA 共同応募体「Llama-3.1-ELYZA-JP-70B」
- ソフトバンク株式会社「Sarashina2 mini」
- 日本電気株式会社「cotomi v3」
- 富士通株式会社「Takane 32B」
- 株式会社Preferred Networks「PLaMo 2.0 Prime」
ここで注意したい点があります。選定されたのは2026年3月時点のモデルであり、その後に各社が公開した後継モデルとは別です。たとえば Preferred Networks は選定後の2026年6月に PLaMo 3.0 Prime を提供開始していますが、選定対象は前世代の PLaMo 2.0 Prime です。「最新版が政府に採用された」と読み替えないようご注意ください。
計画では2026年8月頃から全府省庁の職員を対象に試用が始まり、2027年1月に評価結果の一部が公表され、2027年4月以降に優れたモデルの有償調達が検討されます。国が具体的な調達スケジュールを示した点が、これまでとの違いです(本記事の執筆時点で、試用開始を伝えるデジタル庁の公表は確認できていません)。出典:デジタル庁「ガバメントAIで試用する国内大規模言語モデル(LLM)の公募結果」
②推論(Reasoning)モデルの国産化が始まった
推論モデルとは、答えを出す前に思考の手順を内部で組み立てるモデルです。複雑な指示や計算を伴う業務で精度が上がります。
Preferred Networks は2026年6月、PLaMo 3.0 Prime を正式に提供開始しました。同社の発表によると、国産のフルスクラッチ開発モデルとして初めて、推論モードと非推論モードを選べる構成を採用しています。東京科学大学と産業技術総合研究所の Swallow プロジェクトも、2026年2月に思考力を強化したオープンモデルを公開しました。
③「フルスクラッチ」以外の作り方が増えた
2025年までの国産LLMは、ゼロから学習させる「フルスクラッチ開発」が中心でした。2026年は選択肢が広がっています。
たとえば:
- 継続事前学習:海外のオープンモデルに日本語データを追加学習させる(Swallow シリーズ)
- 事後学習(post-training):公開済みの海外モデルに、日本語や中立性の調整を後から施す(Sakana AI の Namazu)
開発コストを抑えつつ日本語性能を高める方法として広がりつつあります。「国産かどうか」を、ゼロから作ったかどうかだけで判断できなくなっている点は、選定時に押さえておきたい変化です。
国産LLM 15選【2026年版】
提供の形とライセンスで4つに分けて紹介します。自社の使い方に近い分類から読み進めてください。
分類A:商用利用できるオープンモデル(重みが公開されている)
モデルの重みが公開され、自社のサーバーやクラウド上で動かせるモデルです。機密データを外部に出せない業務に向きます。
①LLM-jp-4|国立情報学研究所
国立情報学研究所(NII)の大規模言語モデル研究開発センターと LLM-jp コミュニティが2026年4月に公開しました。8Bモデル(約86億パラメータ)と、32B-A3Bモデル(総パラメータ約320億、アクティブ約38億のMoE構成)の2種類があります。
約12兆トークンのコーパスでフルスクラッチ学習しており、モデルだけでなく学習データも公開されています。NII の評価では、日本語MT-Bench で8Bモデルが7.54、32B-A3Bモデルが7.82を記録し、比較対象の GPT-4o(7.29)と Qwen3-8B(7.14)を上回りました。出典:国立情報学研究所
②Rakuten AI 3.0|楽天グループ
楽天グループが2026年3月に公開したMoE構成のモデルです。楽天の発表ではパラメータ規模を約7,000億としています(Hugging Face の設定ファイルを基に671Bと報じる外部記事もあり、数値には差異があります)。
ライセンスは Apache License 2.0 で、商用利用が可能です。楽天の公表値では、JamC-QA 76.9、MMLU-ProX 71.7、MATH-100 86.9、M-IFEval 72.1 で、いずれも比較対象の GPT-4o(74.7/64.9/75.8/67.3)を上回っています。経済産業省の GENIAC 第3期の一環として開発されました。出典:楽天グループ
③Qwen3 Swallow/GPT-OSS Swallow|東京科学大学+産業技術総合研究所
Swallow プロジェクトが2026年2月に公開しました。Qwen3 Swallow は8B・30B-A3B・32B、GPT-OSS Swallow は20B・120Bの構成です。海外のオープンモデルに日本語能力と思考力を追加学習させる方式を採っています。
Apache License 2.0 で、商用・研究・個人利用のいずれも無料です。プロジェクトの評価では、8Bと32Bは同規模以下のオープンLLMのなかで日本語タスク最高性能とされています(2026年2月時点)。出典:Swallow LLM プロジェクト
④ELYZA-LLM-Diffusion|ELYZA
ELYZA が2026年1月に公開した7Bの拡散言語モデル(dLLM)です。画像生成で使われる拡散モデルの考え方を言語生成に応用し、単語を1つずつ順に生成する必要をなくすことで推論効率と消費電力の改善を狙っています。KDDI のGPU基盤を使って開発され、商用利用可能な形で公開されました。出典:ELYZA
⑤ABEJA-QwQ32b-Reasoning-Japanese-v1.0|ABEJA
ABEJA が2025年4月に公開した32Bの推論モデルです。同社の技術ブログでは Apache License 2.0 として商用利用可と説明されています。同社の発表では、32Bというサイズながら MT-Bench で GPT-4o や o1-preview を上回る性能に到達したとしています。経済産業省・NEDO の GENIAC 第1期の成果です。出典:ABEJA プレスリリース/ABEJA Tech Blog
⑥Stockmark-2-100B-Instruct|ストックマーク
ストックマークが GENIAC 第2期で開発した1,000億パラメータのモデルです。ハルシネーション(事実と異なる内容の生成)の抑止を重視し、ビジネス文書の領域に強みを持たせています。NVIDIA NIM マイクロサービスとしても提供されています。出典:NVIDIA /ハルシネーションの対策は生成AIのハルシネーションの原因と予防策・対策で解説しています。
分類B:法人向けに提供されるモデル(API・オンプレミス)
重みは公開されず、契約に基づいてAPIや専有環境で提供されるモデルです。サポートや責任範囲が明確になる一方、パラメータ数や評価スコアを公表していない例が多くあります。
⑦tsuzumi 2|NTT
NTT が2025年10月に提供を開始した30Bのモデルです。2023年に発表した初代 tsuzumi の次世代版にあたります。1GPUで動作する軽量設計が特徴で、金融・自治体・医療分野の知識を強化し、RAG(検索拡張生成)や情報抽出の用途を想定しています。
NTT は、ビジネス領域で重視される知識・解析・指示遂行・安全性の基本性能について、数倍以上大きいフラッグシップモデルに匹敵する水準に達したと説明しています。NTTデータが応募した tsuzumi 2 は、デジタル庁「源内」の試用モデルにも選ばれています。出典:NTT R&D
⑧PLaMo 3.0 Prime|Preferred Networks
Preferred Networks が2026年6月に正式提供を開始しました。2026年3月に発表したβ版をもとにしたもので、コンテキスト長は256kに拡張されています。同社は、推論モードと非推論モードを選べる構成をフルスクラッチ開発の国産モデルで初と説明しています。
同社の評価では、JFBench や Japanese MT-Bench などで gpt-oss-120b、Qwen3.6-27B、GPT-5.4 mini、Claude Haiku 4.5 と同等以上、安全性の指標 HELM Safety でも海外モデルと同等以上としています。出典:Preferred Networks
なお、デジタル庁「源内」で試用するモデルとして選定されたのは、前世代の PLaMo 2.0 Prime です。本項で紹介する PLaMo 3.0 Prime は選定発表より後に提供が始まったモデルのため、混同しないようご注意ください。出典:デジタル庁
⑨Sarashina3 mini/nano|SB Intuitions
ソフトバンク子会社の SB Intuitions が2026年6月に公開しました。mini と軽量版の nano に加え、guard・embedding・rerank を含む5モデル体系で提供されます。パラメータ数は公式ブログに記載がありません。
同社は自社評価で JamC-QA などにおいて Qwen3-235B、GPT-4.1、GPT-5.4 mini と同等以上としていますが、生スコアは公開されていません。
デジタル庁「源内」との関係は、表記が分かれています。デジタル庁が2026年3月に公表した選定結果では、応募者が「ソフトバンク株式会社」、モデル名が「Sarashina2 mini」です。SB Intuitions は自社ブログで、Sarashina3 をガバメントAIの試用モデルとして採択されたと説明しています。本記事の執筆時点でデジタル庁側の表記は更新されていないため、両方を併記します。出典:SB Intuitions/デジタル庁
⑩cotomi v3|NEC
NEC が2025年7月に発表した企業向けモデルです。コンテキスト長128K、MCP(Model Context Protocol)準拠で、AIエージェントとしての利用を想定しています。2026年3月、デジタル庁の公募で「源内」の試用モデルに選定されました。パラメータ数と自社ベンチマークの生スコアは公表されていません。出典:NEC
⑪Takane|富士通(Cohere と共同開発)
富士通が Cohere と共同開発した日本語特化モデルです。日本語の法令・行政・医療文書に強く、後述するパブリックコメント業務やソフトウェア改修の実証で使われています。パラメータ数は公表されていません。デジタル庁「源内」の試用モデルには「Takane 32B」の名称で選定されています。出典:富士通
富士通は量子化技術によりメモリ消費を最大94%削減できるとしています(2025年9月8日の同社発表時の実測値)。オンプレミスで動かす際の必要リソースを抑えられる点が、行政や金融での採用理由に挙げられています。出典:富士通
⑫Llama-3.1-ELYZA-JP-70B|ELYZA
ELYZA(KDDI グループ)が2024年6月に公開した70Bのモデルで、2026年時点でも主力製品として提供が続いています。Meta の Llama 3.1 に日本語の追加学習と指示学習を施した派生モデルのため、利用条件は Llama 3.1 のライセンスに従います。デジタル庁「源内」には、KDDI と ELYZA の共同応募体として選定された7モデルの1つです。出典:デジタル庁
分類C:用途に特化したモデル・マルチモーダル
⑬PLaMo 2.1-8B-VL|Preferred Networks
Preferred Networks が2025年12月に発表した8Bの視覚言語モデル(VLM)です。画像を入力として扱え、エッジデバイスや自律稼働機器での動作を想定しています。製造現場の異常検知や安全確認の用途が挙げられています。技術検証を目的に、2026年3月末まで無償で提供されました。出典:Preferred Networks
⑭Llama-3-heron-brain-70B/8B|Turing
自動運転の開発を手がける Turing が GENIAC で開発した視覚言語モデルです。道路状況の理解に特化した追加学習を行っています。同社の発表では、GENIAC の共有ベンチマークで gpt-3.5-turbo を上回り、参加事業者のなかで2番目のスコアを記録しました。出典:Impress Watch(Turing の発表に基づく報道)
分類D:新しい作り方のモデル
⑮Namazu(α版)|Sakana AI
Sakana AI が2026年3月に発表しました。ゼロから学習させるのではなく、DeepSeek-V3.1-Terminus や Llama-3.1-405B などの海外オープンウェイトモデルに独自の事後学習を施し、日本仕様に適応させる方式です。
同社の評価では、AIME'25 や MMLU-Redux などの基礎能力はベースモデルとほぼ同等を保ちながら、日本に関する問いへの回答拒否率が72%からほぼ0%に改善したとしています。α版の時点でモデルの重みは非公開で、Web検索と統合した Sakana Chat 経由での利用が中心です。出典:Sakana AI
国産LLM 比較表【2026年8月時点】
| モデル | 開発元 | 公開時期 | パラメータ | ライセンス・商用利用 | 公表されている日本語性能 | 提供形態 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| LLM-jp-4 | 国立情報学研究所 | 2026年4月 | 8B/32B-A3B | オープン・商用可 | 日本語MT-Bench 7.54/7.82 | 重み公開 |
| Rakuten AI 3.0 | 楽天グループ | 2026年3月 | 約7,000億(公式値) | Apache 2.0・商用可 | JamC-QA 76.9 ほか | 重み公開 |
| Qwen3/GPT-OSS Swallow | 東京科学大学+産総研 | 2026年2月 | 8B〜120B | Apache 2.0・商用可 | 同規模帯で日本語最高性能と発表 | 重み公開 |
| ELYZA-LLM-Diffusion | ELYZA | 2026年1月 | 7B | 商用可 | 既存の公開dLLMと同等以上(自社評価) | 重み公開 |
| ABEJA-QwQ32b-Reasoning | ABEJA | 2025年4月 | 32B | Apache 2.0・商用可 | MT-BenchでGPT-4o超(自社評価) | 重み公開 |
| Stockmark-2-100B | ストックマーク | GENIAC第2期 | 100B | 商用可 | 国産オープンモデル比で高性能(自社評価) | 重み公開/NIM |
| tsuzumi 2 | NTT | 2025年10月 | 30B | 法人契約 | 大規模モデルに匹敵と発表(数値非公開) | API/オンプレ |
| PLaMo 3.0 Prime | Preferred Networks | 2026年6月 | 非公開 | 法人契約 | 海外主要モデルと同等以上(自社評価) | API/オンプレ |
| Sarashina3 mini/nano | SB Intuitions | 2026年6月 | 非公開 | 法人契約 | 同等以上と主張(生スコア非公開) | API |
| cotomi v3 | NEC | 2025年7月 | 非公開 | 法人契約 | 自社スコアの公表は限定的 | API/専有環境 |
| Takane(源内選定名 Takane 32B) | 富士通×Cohere | 継続提供中 | 非公開 | 法人契約 | 数値の公表なし(実証結果を公表) | API/専有環境 |
| Llama-3.1-ELYZA-JP-70B | ELYZA | 2024年6月 | 70B | Llama 3.1ライセンス準拠 | 2024年時点の公表値のみ | 重み公開/API |
| PLaMo 2.1-8B-VL | Preferred Networks | 2025年12月 | 8B | 検証目的で無償提供 | 数値公表なし | 検証提供 |
| Llama-3-heron-brain | Turing | GENIAC成果 | 70B/8B | Llama系ライセンス準拠 | GENIAC共有ベンチで2位 | 重み公開 |
| Namazu(α版) | Sakana AI | 2026年3月 | ベース依存 | α版時点で重み非公開 | 回答拒否率72%→ほぼ0% | Sakana Chat |
表を読むときの注意が3つあります。
たとえば:
- パラメータやスコアを公表していないモデルがあります。 Sarashina3、cotomi v3、Takane は非公開です。推測値を当てはめず、「非公開」として扱ってください
- Rakuten AI 3.0 のパラメータ数には差異があります。 楽天の公式発表は約7,000億、Hugging Face の設定ファイルを基にした外部記事は671Bと報じています。ここでは公式値を採用しました
- 順位付けはしていません。 各社の数値は測定条件や評価者が揃っておらず、横並びの順位を作れないためです
- デジタル庁の選定モデルと最新版は別です。 選定されたのは PLaMo 2.0 Prime、Sarashina2 mini、Takane 32B などの2026年3月時点のモデルです。本記事で紹介する最新版と取り違えないようご注意ください
国産LLMの導入事例5選
①富士通|パブリックコメント12万文字の分類・要約を約10分で完了
富士通は Takane を使い、パブリックコメント業務の効率化を検証しました。意見の分類・要約と、法令案の条項との整合チェックを自動化する内容です。2025年中に実施した実証では、約12万文字のパブリックコメントデータの分類・要約を10分程度で終え、法令案の条項に該当する意見の箇所を全体の8割を超える正答率で特定できたと2026年2月に発表しています。出典:富士通
②富士通Japan|法改正対応の改修が3人月から4時間に
富士通は2026年2月17日、Takane を組み込んだAIドリブン開発基盤の運用を開始しました。要件定義から結合テストまでをAIエージェントが自律的に進める仕組みです。2024年度の法改正案件を対象にした実証では、約300件の変更案件のうち1案件について、従来3人月を要していた改修期間が4時間に短縮され、生産性が100倍になる効果を確認したとしています。2026年度中に医療・行政向けの67製品へ適用範囲を広げる計画です。出典:富士通
③中国電力×NTTドコモビジネス|電力業務に特化したLLMを構築
中国電力と NTTドコモビジネスは2026年1月、tsuzumi 2 を使った電力業務特化型LLMの構築と検証を開始しました。社内マニュアルや過去の行政機関への申請書類などを学習させる内容です。2026年1月から3月末にかけて精度を検証し、その結果を踏まえて2026年度以降の実用化を目指すと発表しています。出典:NTTドコモビジネス
④NTTデータ先端技術|オンプレミス環境での動作を確認
NTTデータ先端技術は2026年4月、オンプレミスAI環境の構築サービス「INTELLILINK Private AI スタートパック」で tsuzumi 2 の対応検証を開始しました。同社の検証環境で基本的な動作確認を実施済みとしており、社外にデータを出せない企業がオンプレミスで国産LLMを使う選択肢が広がりました。出典:NTTデータ先端技術
⑤デジタル庁|行政文書向けの翻訳を政府職員に提供
デジタル庁は、Preferred Networks が開発した PLaMo翻訳 を、政府共通の生成AI利用環境「源内」を通じて政府職員に提供開始したと公表しています。行政文書に特有の日本語表現や記述様式に合わせた翻訳が目的です。オンプレミスで動作できる点が、機密性の高い文書を扱う用途で条件に合いました。出典:デジタル庁
自社に合う国産LLMの選び方【4つの軸】
モデルの数だけを見ると迷いますが、判断の軸は多くありません。次の4つを順に確認すると候補は絞れます。
①商用利用の条件を先に確認する
最初に見るのはライセンスです。同じ「商用利用可」でも条件は異なります。Apache License 2.0 のモデル(Rakuten AI 3.0、Swallow シリーズ、ABEJA)は再配布や改変の自由度が高く、Llama 系の派生モデル(Llama-3.1-ELYZA-JP-70B、Llama-3-heron-brain)は元モデルのライセンス条件が及びます。法人契約型(tsuzumi 2、PLaMo 3.0 Prime、cotomi v3、Takane、Sarashina3)は契約書で利用範囲が定まります。
実践ポイント
候補モデルのライセンス種別を表にして、「再配布できるか」「改変できるか」「出力物を自社サービスに組み込めるか」「学習に使ってよいか」の4点を埋めてください。埋まらない項目があれば、その時点で開発元に問い合わせます。用途別の整理は用途別で商用利用可能なLLM(大規模言語モデル)を紹介も参考になります。
②どこで動かすかで絞る
次に決めるのは動かす場所です。クラウドのAPIを使うのか、自社のサーバーで動かすのかで、候補は大きく変わります。
機密データを外部に出せない業務であれば、重みが公開されているモデル(LLM-jp-4、Swallow シリーズ、Rakuten AI 3.0)か、オンプレミス提供に対応するモデル(tsuzumi 2、PLaMo 3.0 Prime、Takane)が候補です。特に tsuzumi 2 は1GPUで動作する設計のため、大規模なGPU投資をせずに自社内で試せます。
実践ポイント
扱うデータを「社外に出せる」「出せない」「判断が必要」の3つに分けてから、モデルの候補を当てはめてください。順番を逆にすると、選定をやり直すことになります。セキュリティ面の検討事項は生成AIセキュリティの5つのリスクと6つの対策で整理しています。
③日本語性能は公表値だけで決めない
公表されているベンチマークは参考になりますが、それだけで決めるのは危険です。理由は2つあります。1つは、企業向けモデルの多くが生スコアを公表していないこと。もう1つは、公表値の多くが自社評価であり、測定条件が揃っていないことです。
たとえば、日本語MT-Bench のスコアが公表されている LLM-jp-4 と、「同等以上」という表現だけの Sarashina3 を、同じ表の上で比べることはできません。
実践ポイント
自社の実データから20〜30件の設問を作り、候補モデルに同じ問いを投げて出力を比べてください。社内文書の要約、問い合わせへの回答、専門用語の扱いなど、実際に使う業務の形で試すことが大切です。ベンチマークの順位より、この結果のほうが判断に直結します。
④モデル選定より先に用途を決める
「どのモデルがよいか」から入る相談は少なくありませんが、順番としては用途が先です。社内文書を検索して答えさせる RAG(検索拡張生成)なのか、長い議事録の要約なのか、文章の生成なのかで、必要な性能もコストも変わります。
長い文書を一度に扱うなら、コンテキスト長が判断材料になります(PLaMo 3.0 Prime は256k、cotomi v3 は128K)。画像や図面を扱うなら視覚言語モデル(PLaMo 2.1-8B-VL)が候補です。
実践ポイント
用途を1つに絞り、小さく試して効果を測ってから広げてください。検証の進め方はPoC(概念実証)とは?生成AI開発に導入するメリットと注意点で解説しています。
スパイクスタジオの支援事例
モデルの選定と同じくらい難しいのが、選んだあとに社内で使われる状態を作ることです。
三井住友DSアセットマネジメント様では、全社向けの基礎研修に加えて、事務部門で伴走型のDX支援研修を実施しました。従業員が日々の業務で抱える課題を洗い出し、生成AIで解決する流れまでを一緒に作っています(導入事例)。
NTT DXパートナー様では、生成AIを活用したプラットフォーム「架空商品モール」の開発を技術面から支援しました。ユーザーのアイデアとメーカーの技術を掛け合わせて新しい商品案を生み出す仕組みです(導入事例)。
国産LLMの選定と社内展開はスパイクスタジオへご相談ください
国産LLMは選択肢が増えた一方で、比較の条件が揃わず判断しづらい状況が続いています。スパイクスタジオは、モデルの選定から社内展開までを一貫して支援しています。
たとえば:
- AI人材育成:使う側・作る側・基盤層の三層に分けて育てます。教育・統制・データ整備をセットで設計します
- BPRコンサルティング:業務プロセスそのものをAI前提で組み替えます。戦略構想から実行設計まで約3ヶ月で設計図とロードマップを描きます
- Spike AI Agent Studio:専任のFDEと開発AIがチームになり、月額定額でAIエージェントを作り放題・直し放題で開発します
- ZUNO:図面・設計・積算など専門業務のための産業特化型AIエージェント。自社の設計ルールと判断履歴を学習させ、実務のOJTで育てます
「どのモデルが自社に向くか分からない」という段階からご相談いただけます。まず用途の整理から一緒に始めることも可能です。導入前の不安や課題を整理しながら進められますので、お気軽にお問い合わせください。
※本記事の情報は2026年8月5日時点の各開発元およびデジタル庁の公式発表に基づきます。モデルの提供条件やライセンスは変更される場合がありますので、導入時は必ず開発元の最新情報をご確認ください。
