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業務効率化

経理・請求のExcel自動化|工程別のやれる・やらないと企業事例9選【2026年版】

経理のExcel自動化は、工程を「入力」「照合」「判断」に分けると失敗しません。Excelそのものを捨てる必要はありません。捨てるべきなのは、Excelに手で打ち込む工程と、Excelで目視照合する工程です。

経理や請求まわりの業務は、月末月初に作業が集中します。請求書の発行、入金の消込、経費の突き返し、月次の締め。どれもExcelで回している会社が多く、担当者が1人しかいないことも珍しくありません。「自動化したいが、どこから手を付ければいいか分からない」「ツールを入れたのに、結局Excelに戻ってしまった」という声をよく聞きます。

この記事では、経理の工程を5つに分け、工程ごとに「自動化できること」と「手を出さない方がよいこと」を整理します。あわせて、2025年から2026年に公表された実名企業の事例を、それぞれの工程に紐づけて紹介します。数字はすべて、企業や調査主体が公表した一次情報から引いています。

私たちスパイクスタジオは、生成AI・DXの導入支援と人材育成を手がけ、研修受講者はのべ10,000人を超えます。事務部門の業務を現場と一緒に組み替えてきた立場から、実務の目線で書きます。

経理・請求業務の自動化はどこまで進んでいるか【2026年版】

まず、いまの位置を数字で確認します。自動化の議論は「うちは遅れているのか」が分からないまま始まることが多いためです。

人手は減り、経理は「1人担当」が当たり前になっている

人手不足は解消していません。正社員の人手不足を感じている企業は50.8%で、非正社員では28.7%でした(人手不足に対する企業の動向調査(帝国データバンク、2025年7月、有効回答10,626社))。

経理部門はもともと人数が少ない部署です。日本商工会議所・東京商工会議所の調査では、売上高1千万円以下の事業者の92.0%が経理事務を1人で行っていました。同じ調査で、売上高1千万円以下の区分(n=1,249)では、改正電子帳簿保存法の電子取引データ保存について59.4%が「制度をよく理解できず未対応」と答えています。規模が小さいほど、この割合が高くなっています(中小企業のデジタル化・インボイス制度・改正電子帳簿保存法への対応状況等に関する調査(日本商工会議所・東京商工会議所、2024年9月公表、回答3,149者))。

担当が1人の職場では、自動化の検討そのものが後回しになります。「忙しいから自動化できない」「自動化していないから忙しい」という循環に入りやすいのが、この分野の難しさです。

ツールの導入は進みつつあるが、まだ4社に1社

導入率は上がっていますが、飽和にはほど遠い水準です。経理部門でAIを活用したシステムを導入している企業は24.3%で、約4社に1社にとどまります(経理・財務担当者474名への調査(LayerX、2024年12月発表))。

RPA(定型作業を自動実行するソフトウェア)の導入率は、年商50億円未満の中小企業で15%、年商50億円以上の中堅・大手企業で44%でした(RPA国内利用動向調査(MM総研、2024年3月時点、国内企業1,599社))。中小企業では、クラウドサービスの活用が32.5%、RPAの導入が16.9%と、いずれも前回調査を上回りました(中小企業のDX推進に関する調査(中小企業基盤整備機構、2025年12月調査))。

生成AIについては、何らかの業務で利用していると回答した日本企業は55.2%でした(令和7年版 情報通信白書(総務省、2025年7月公表))。使ってはいるが、経理の基幹業務にまでは届いていない、というのが全体像です。

私たちが企業研修の現場で受ける相談も、この数字と重なります。研修受講者のべ10,000人以上(2023〜2026年の実施分、スパイクスタジオ調べ)のうち、事務部門の方から最も多く出る質問は「ツールを入れる前に、どの作業を残せばよいのか」です。順番が逆になった導入は、たいてい元のExcelに戻ります。

工程別に見る「自動化できる」と「手を出さない」の全体像

経理・請求の業務を5つの工程に分けます。工程ごとに、自動化して効果が出る作業と、自動化に向かない作業があります。向かない作業に手を出すと、確認の手間が増えて逆に遅くなります。

工程自動化できること手を出さない方がよいこと
①仕訳入力・記帳証憑の読み取り、勘定科目の推測、過去の仕訳からの学習初めて発生する取引の科目判断、税務上の判定
②請求書の発行・送付宛先ごとの送付方法の仕分け、電子送付、送付状況の記録取引先ごとの個別様式・特約への対応
③入金消込・突合金額と名義が一致する入金の自動照合、未入金リストの作成一部入金・相殺・過入金の処理判断
④経費精算領収書の読み取り、規程違反の自動チェック、承認の省略規程そのものの解釈、例外承認の可否
⑤月次決算・レポートデータの集計、定型レポートの生成、進捗の可視化数字の異常値の説明、経営への報告内容の決定

共通しているのは、「読み取る・照合する・集計する」は自動化でき、「判断する・説明する」は人に残る、という線引きです。この線を引かないまま全体をツールに載せると、判断が必要な例外が滞留します。

経理の自動化はどこで線を引くか

工程①仕訳入力・記帳|入力はゼロにできる。科目の最終判断は残す

最初の工程は、証憑(請求書・領収書・支払依頼書)を受け取って仕訳を起こす作業です。ここは自動化の効果が最も分かりやすく出ます。紙をやり取りしている会社ほど、削減幅が大きくなります。

やれること/やらないこと

やれることは、証憑の読み取りと、過去の仕訳データからの勘定科目の推測です。ワークフローと会計システムを繋げば、承認が下りた時点で仕訳が起票される状態まで作れます。

やらない方がよいのは、初めて発生する取引の科目判断と、税務上の取り扱いの判定です。ここを自動化すると、誤りが決算まで発見されません。AIの提案を人が確認する形にとどめ、確認の担当と締切を決めておきます。

事例|ベガコーポレーション:紙資料99.9%削減、残業25%減

家具・インテリアEC「LOWYA」を運営する株式会社ベガコーポレーションは、紙で本社に集約していた請求書・支払依頼・経費精算をfreee会計のワークフローに統合しました。申請から仕訳入力までを一気通貫で処理する体制に切り替えています。

同社は、紙資料の99.9%削減と、全体で約25%の残業時間削減を公表しています。あわせて、2年間で営業利益成長率274%を実現したとしています。紙の回付をなくしたことで、承認待ちの滞留と、拠点から本社への郵送の手間が同時に消えた形です。

参照freee株式会社「株式会社ベガコーポレーション 導入事例

事例|森永乳業:月1万件超の請求書のうち約1割をデジタル受領へ

森永乳業株式会社は、本社だけで月に1万件以上の請求書を受領しています。2024年10月から受領請求書のデジタル化に着手し、2025年4月にPeppol(ペポル、電子インボイスの国際規格)へ対応しました。

日経クロステックの取材時点で、デジタルデータで受領しているのは1割にあたる約1,000件です。PDFでの受領が全体の6〜7割、紙での受領が約2割を占めています。同社は無人での請求書処理を目標に、3段階での改革を進めているとしています。受け取り方を変えなければ、読み取りの精度をいくら上げても手作業は残る、という順序を示した事例です。

参照日経クロステック「森永乳業の請求書デジタル化に関する記事

工程②請求書の発行・送付|宛先の仕分けと送付は自動化できる

請求書を出す側の工程です。発行そのものより、宛先ごとに「郵送か、メールか、取引先の指定システムか」を仕分ける作業に時間が取られます。拠点が多い会社ほど負担が重くなります。

やれること/やらないこと

やれることは、送付方法の仕分けと電子送付、そして送付状況の記録です。誰にいつ送ったかが記録に残るため、「届いていない」という問い合わせへの対応も短くなります。

やらない方がよいのは、取引先ごとの個別様式や特約への一括対応です。少数の例外のために全体の仕組みを複雑にすると、運用が続きません。例外は例外として手作業に残し、件数を数えておきます。

事例|喜多機械産業:月1,200件を電子化し月110時間を削減

建設機械・資材の販売とレンタルを手がける喜多機械産業株式会社は、県内外17拠点・25部門で月2,300件の請求書を発行していました。バクラク請求書発行のAIによる送付先仕分け機能を使い、このうち約半数を電子化しています。

同社は、月1,200件の請求書を電子化し、月110時間相当の作業を削減したと公表しています。拠点ごとに紙で印刷・封入していた工程が、送付方法の判定ごと自動化された形です。

参照株式会社LayerX「喜多機械産業株式会社 導入事例」(2026年8月公開)

事例|西尾レントオール:全国約200拠点で月8,000件を電子化

建設機械・重機レンタルの西尾レントオール株式会社は、全国400拠点のうち約200拠点で、紙と郵送を中心に請求書を発行していました。締め作業には2営業日を要し、その間は他の業務に手が回らない状態だったとしています。

同社はバクラク請求書発行を導入し、月間8,000件の請求書発行を電子化しました。拠点ごとの権限管理と、基幹システムとのAPI連携を組み合わせ、全国展開しています。拠点数が多い企業では、権限設計を先に決めておくことが展開速度を左右します。

参照株式会社LayerX「西尾レントオール株式会社 導入事例」(2026年8月公開)

工程③入金消込・突合|9割を自動で消し、残りに人を寄せる

入金消込は、Excelでの目視照合が最後まで残りやすい工程です。銀行の入金明細と請求データを並べ、金額と名義を突き合わせていく作業に、月末の数日が消えます。

入金消込を自動化したときの流れ

やれること/やらないこと

やれることは、金額と振込名義が一致する入金の自動照合と、未入金リスト・督促リストの自動作成です。9割前後は機械的に消せる、というのが実務の相場観です。

やらない方がよいのは、一部入金・相殺・過入金の処理判断です。ここは取引先との関係や過去の経緯が絡むため、自動で当ててしまうと後から戻せません。自動照合できなかった分だけを人の画面に集める設計にします。

事例|ホーライ:約90%を自動照合、100件の確認が1日足らずで完了

株式会社ホーライは、勘定奉行クラウドを利用していた環境にバクラクを追加し、AIによる入金消込の自動マッチングを導入しました。営業と経理がそれぞれ行っていた突き合わせ確認を、経理側に一元化しています。

同社は、約90%の入金が自動で照合され、100件ほどの入金確認が1日足らずで完了するようになったとしています。あわせて、1件あたり最大700円だった振込手数料を100円台まで削減したとしています。

参照株式会社LayerX「株式会社ホーライの導入事例」(2026年6月公開)

事例|プリメディカ:消込が月25時間から10時間前後へ

予防医療サービスを提供する株式会社プリメディカは、月400件を超える請求書の発行と、Excelでの入金消込・未入金管理を担当者が抱えていました。バクラク請求書発行・債権管理を導入し、消込と督促を自動化しています。

同社によると、入金消込の所要時間は月25時間から月10時間前後へ半減しました。毎月半日かかっていた督促リストの作成は0時間になり、請求書の郵送割合は9割減少しています。督促の作業は「思い出して着手する」性質のものが多く、リストが自動で出るだけで着手が早まります。

参照株式会社LayerX「株式会社プリメディカ 導入事例」(2026年3月公開)

工程④経費精算|チェックと承認は減らせる。規程は減らせない

経費精算は、件数が多いわりに1件あたりの金額が小さい工程です。差し戻しと再申請の往復が、申請者・承認者・経理の3者に負荷を配ります。

やれること/やらないこと

やれることは、領収書の読み取り、規程違反の自動チェック、そして承認工程そのものの省略です。事前の全件承認をやめ、事後の検証に切り替える設計が取れます。

やらない方がよいのは、規程の解釈と例外承認の可否です。「この支出は認めるのか」は制度の設計であって、自動化の対象ではありません。逆にいえば、規程を先に整理しないと、自動チェックの条件が書けません。

事例|タイミー:月4,000行の交通費明細の目視確認を不要に

スキマバイトアプリを運営する株式会社タイミーは、従業員が3年で約500名から約1,500名に増え、経費精算のチェックが逼迫していました。バクラク経費精算のAI申請レビューを導入し、申請の前段でAIが規程違反を指摘する仕組みを構築しています。

同社は、月4,000行に及ぶ交通費明細の目視確認や、不備による差し戻しの工数を削減し、経費精算の月次締め作業を1営業日前倒ししたとしています。人員が増える局面では、チェックの担当者を増やすより、差し戻しの発生自体を減らす方が効きます。

参照株式会社LayerX「株式会社タイミーの導入事例」(2025年12月公開)

事例|千葉県白子町:年間約120時間の精算業務削減を見込む

千葉県白子町は、自治体としてバクラクビジネスカードを導入しました。職員ごと・課単位でカードを発行し、現金の取り扱いと、資金前渡(現金の前払い)に伴う精算業務を減らしています。

同町は、資金前渡の処理を削減することで精算業務の時間を年間約120時間短縮できる見込みとしています。カード決済への切り替えにより、振込手数料も年間約13万円の削減を見込むとしています。支払いの手段を変えることで、精算という工程自体を発生させない方向の取り組みです。

参照株式会社LayerX「千葉県白子町 導入事例」(2025年10月公開)

工程⑤月次決算・レポート作成|締めを早めるのは決算作業ではなく手前の工程

月次決算が遅い会社の原因は、決算作業そのものではないことがほとんどです。請求書の到着待ち、経費の申請待ち、承認待ちといった手前の滞留が、締めの日程を押し下げます。

やれること/やらないこと

やれることは、データの集計、定型レポートの生成、そして「どの部署の何が未提出か」の可視化です。締めの進捗が見えるだけで、催促の回数が減ります。

やらない方がよいのは、数字の異常値の説明と、経営への報告内容の決定です。生成AIに分析コメントを書かせる場合も、根拠となる数字の裏取りは人が行います。

事例|NSグループ:月間432時間を削減し、月次締めを7日間早期化

カラオケパセラなどを運営する株式会社NSグループは、インボイス制度への対応を機に、請求書受領・経費精算・購買申請の各システムを刷新しました。バクラク経費精算・申請とバクラク請求書受取に統一し、支払業務を一元化しています。

同社は、全社で月間432時間の工数削減(人件費換算で月間93万円)を実現し、年間では5,184時間・1,116万円の削減になるとしています。あわせて、月次締めを7日間早期化したとしています。決算を速く処理したのではなく、支払業務の入口を揃えた結果として締めが早まった形です。

参照株式会社LayerX「株式会社NSグループ 導入事例

【対策】経理のExcel自動化を止めずに進める4つの手順

スパイクスタジオ 代表取締役CEOの黒柳茂は「失敗の8割は、AIの性能ではなく渡す情報の設計で決まる」と指摘します。経理の自動化も同じで、うまくいかない原因はツールの性能ではなく、渡す前の工程の整理にあります。ここからは、実際に手を動かす順番を示します。

1. 工程を分解し、件数と時間を測る

最初にやることは、ツール選びではありません。工程ごとの件数と所要時間を測ることです。「月に何件を、何時間で処理しているか」が分からないと、導入後の効果も測れません。

実践ポイント

  • 1か月だけ、担当者に「工程名・件数・所要時間」を1日1行で記録してもらう
  • 件数は月合計、時間は分単位で取る(「だいたい半日」は使わない)
  • 差し戻し・再申請の回数も別で数える(ここが隠れた工数になる)

前掲の事例が示している数字は、いずれも「月2,300件」「月4,000行」「月25時間」のように、件数か時間で表現されています。測っていない会社は、改善しても社内で成果を説明できません。

2. 「判断が要る作業」を先に切り分ける

次に、工程を「入力」「照合」「判断」の3つに色分けします。入力と照合は自動化の対象、判断は人に残す対象です。

実践ポイント

  • 判断が要る作業を書き出し、誰が決めるかを1行で決めておく
  • 自動照合できなかった例外だけを集める置き場(一覧画面)を作る
  • 例外の件数を毎月数え、増えていないかを見る

3. Excelを捨てずに、Excelの前後を変える

Excelは集計と検算に強い道具です。無理に捨てる必要はありません。変えるべきなのは、Excelに手で入力する前の工程(受け取り方)と、Excelから転記する後の工程(会計システムへの連携)です。

実践ポイント

  • 受け取り方を変える(紙・PDF・電子データの比率を数え、電子の比率を上げる)
  • 転記をなくす(会計システムへの連携がある製品を優先する)
  • Excelは「確認と分析」に用途を絞る

森永乳業の事例が示すように、受け取り方を変えないまま読み取りの精度だけを上げても、手作業は残ります。業務効率化の進め方は「DX推進による業務効率化事例15選|生成AIやRPAを取り入れるコツ」でも業種別に整理しています。

4. 例外処理の運用まで決めてから広げる

自動化が定着しない最大の理由は、例外の扱いを決めていないことです。一部入金、相殺、規程外の支出。これらが出たときに誰がどう処理するかを決めてから、対象部署を広げます。

実践ポイント

  • 例外の類型を3〜5個に絞って書き出す
  • 類型ごとに「誰が判断し、どこに記録するか」を決める
  • 1拠点・1部署で1か月運用してから、他拠点に広げる

経理のExcel自動化を進める4つの手順

スパイクスタジオの支援事例

私たちは、ツールの導入だけでなく、業務の組み替えと人材育成をセットで支援しています。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社では、業務の属人化と手作業による非効率が課題となっていました。全社向けの基礎研修に加え、事務部門で伴走型のDX支援研修を実施し、現場の担当者が自分の業務課題を洗い出して解決策まで持っていく進め方を取りました。

取り組みの詳細は「【三井住友DSアセットマネジメント株式会社】全社基礎研修および事務部門での伴走型DX支援研修の実施」と、現場の声をまとめた「【後編】三井住友DSアセットマネジメント×スパイクスタジオ|生成AI研修で抵抗感を払拭、DX推進が加速」をご覧ください。

経理・請求まわりの自動化は、担当者が1人で抱えている職場ほど、外から人手を入れて工程を分解する価値があります。

経理・請求業務のExcel自動化ならスパイクスタジオにご相談ください

経理の自動化は、製品を選ぶ前に工程を分ける作業が要ります。ここを飛ばすと、導入した後もExcelでの二重管理が残ります。

スパイクスタジオでは、次のご支援ができます。

「どの工程から手を付けるべきか」「いまのExcelを残したまま何ができるか」といった段階のご相談も歓迎です。現状の件数と工数を伺いながら、着手の順番を一緒に整理します。

ご相談はお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。

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